長岡芸術工事中について

このイベントは、長岡造形大学が公立化した2014年に、長岡悠久ライオンズクラブが仲介役となり、長岡造形大学の学生と長岡駅前商店街を引き合わせたことが始まりです。
長岡の中心街をアートで彩ろうと、長岡の街全体をアートの展示場に見立てた初の試み「ヤングアートディスプレイin大手通2015」が2015年春に開催されました。
第1回となるイベントは長岡悠久ライオンズクラブが主催、長岡造形大学が共催という形で実施。名称の変遷を経て、2017年から、長岡悠久ライオンズクラブと長岡造形大学の主催、長岡市、ながおか・若者・しごと機構の共催という体制が確立し、これらに長岡大手通商店街振興組合が加わって実行委員会を組織すると共に、長岡造形大学の学生有志が学生実行委員会を作り、その年の企画・運営に当たっています。

昨今、芸術祭やトリエンナーレなど、街や自然の環境を舞台にアートが展示されるイベントはたくさんあります。新潟はその草分けとも言える「大地の芸術祭」の開催地でもあります。大きな芸術祭の足元にも及びませんが、学生が中心となり、街内外の様々な人々の協力を得て長岡にデザインとアートの創造的な力を注力し、豊かな地域をつくろうという実践的な研究として試行錯誤を繰り返してきました。

スタートしてから7年が経過し、卒業生や在学生が街中の空き物件をリノベーションして様々なプロジェクトに活用するなど、街のシーンとしての動きも生まれてきました。
成長した卒業生や地元のクリエイティブな人々との連携を深め、コンパクトながらも楽しい活動として今後もさらに進化していこうと、まだまだ工事は進行中です。

(2020年掲載)

メッセージ

長岡造形大学の学生のみなさんの力を借りて「長岡をアートでいっぱいの街にしよう」と始まったのが「ヤングアートディスプレイin大手通」。そして「ヤングアート長岡」「長岡芸術工事中」、名前が変わると同時に参加者も作品も進化してきました。しかし、始めたときと変わらないことが2つあります。それは、長岡をアートいっぱいの街にしよう、この事業の中心は学生たち、ということです。

今回も実行委員の人たちが非常に頑張ってくれました。学生のみなさんのパワーが長岡をもっと豊かな街に変えていってくれるだろうと感じています。

何気なく振り向いたそこにアートがある。心が動く。そんな日常を創り出してくれる長岡であってほしい。長岡芸術工事中の進化とともに、そんな街並みが明瞭に見えてくる気がします。学生のみなさんの活躍を期待し、我々は傍で支える存在でありたいと思っています。

長岡悠久ライオンズクラブ58代会長 長部善憲

「ヤングアートディスプレイin大手通」として2015年に始まったこのイベントは現在、「長岡芸術工事中」という名称になっている。

初めは手探りというのは常套句だ。クオリティを上げようと四苦八苦するのも。毎回工夫をするが毎回新しい問題が起こるし、何回やっても乗り越えられない問題もある。正解はない。学生は入れ替わり、街も動く。常にまっただ中で完成はない、つまり工事中。そう開き直って、見えてきたものがある。分かりやすさは減るけれど、それでいい。違和感を持たれるかもしれないけれど、それでいい。反感を買うかもしれないけれど、それでいい。芸術工事中なんだから、結果ではなく活動そのものをその場所ごと見せたい。

公開制作、オープンスタジオ、トークイベント、ライブペインティング。街の景色の中でオルタナティブな活動をアウトプットすることがこのイベントの本質であり、長岡の土地でクリエイティブを模索する活動そのものがこのイベントだということが見えている。

長岡芸術工事中 芸術監督 遠藤良太郎

僕らが目指しているのは長岡にアートシーンをつくること。街中に作品を制作するスタジオがあったり、展示する空間があったり、みんなが集まれるカフェがあったり。学生とかプロとか、そんな垣根もないクリエイティビティあふれる環境をつくること。
長岡芸術工事中はそういったムーブメントのきっかけとして、オルタナティブな場や活動をつなぐオーガニックな運動体になればいいと思っているんです。
別に夢物語を語っているつもりはなくて、世界中にそういう街はいっぱいあるし、長岡にもそのポテンシャルは十分にある。

今年で活動は7年目。まだまだではあるけど、少しずつ目指すアウトラインは現実に見え始めています。時間のかかる活動だけど、工事は着実に進行していますね。

長岡芸術工事中 プロジェクトディレクター 池田光宏