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とじる
2022.07.22 教員

夢中になれるものに出会えた学生時代

視覚デザイン学科 准教授 平原 真 先生
2022年4月に視覚デザイン学科の准教授に着任した平原真先生。長岡造形大学の卒業生です。平原先生の専門はメディアアート。お話を聞くと「メディアアート=ハイテクを駆使した作品」という概念が見事に覆され、その醍醐味を垣間見ることができました。

「フワッと入学」から夢中になった卒業制作まで

先生のこれまでの活動を教えてください。

まずは学生時代から話しますね。高校生のみなさんが生まれる前、1998年に長岡造形大学に入学しました。志望動機は「絵が好きだから、その方面で食べていけたらいいな」というフワッとしたもの。授業では新聞広告やポスターなどの作品を作っていました。

いい作品を作りたくて努力はしていたものの、同学年には絵の上手い人やグラフィックのセンスのある人が大勢いました。講評の時には悔しい思いをすることもしばしばだったので、なんとか自分の得意な領域を見つけたいと思っていました。

そんな時に出会ったのが、今も在籍しておられる真壁友先生。僕が3年生の時でした。そこで初めてメディアアートを知り、岩井俊雄さんやジョン・マエダさんといったメディアアーティストの作品に興味を持ったんです。それまでは、コンピュータは実用的な計算のための道具だと考えていましたが、メディアアートの世界では楽しさ・美しさのために使っていて、衝撃を受けました。

それから作品制作に夢中になり、特に卒業制作には没頭しました。1年近くも一つことに集中できるのは学生の特権。贅沢な時間でしたね。「コミュニケーションの可視化」をテーマに、タイプライターを向かい合わせてメッセージをやりとりする「Comtype」という作品を作りました。

https://makotohirahara.com/portfolio/comtype/

見れば見るほど深い意味を感じます。他にはどんな作品を作りましたか?

例えば水彩画の授業。「何かおもしろいことをしてやろう」と、水に溶いた絵の具を梱包材のプチプチに一つずつ注射器で入れて、マリア像を描きました。あとは「生まれ変わり」をテーマにした制作で、1枚のグラフィックに格子のシートを重ね、その重ね方によって絵が変わる作品を作ったこともあります。赤ちゃんの僕から20歳の僕になり、ガイコツになって、生まれ変わって宇宙人になるというもので。

えー!!おもしろい!

今みたいなリアクションが楽しすぎて、僕は正攻法で作品を作るよりも、少し違うやり方で作るのが合っていると気づきました。

プチプチで作ったマリア像

サバイバルなフリーランス時代

就職はどうしましたか?

本当はデザインとテクノロジーをミックスしたような仕事をしたかったのですが、当時そういった会社はほとんどなく、webデザイナーとしてデザイン会社に就職しました。楽しい反面、とにかく忙しくて。作品制作から遠のいていた時に、会社を辞めてフリーランスとなり、「MONGOOSE STUDIO」というグループを仲間と立ち上げて、創作活動を続けました。

その後、作品制作と平行して、科学館やショールームの体験型展示物の制作の仕事をおこなっていましたが、「自分一人なら何ができるだろう」と考えるようになり、再びフリーランスに。この時は取引先とのつながりもあり、フリーランスとして生活することができました。

30代半ばから大学の非常勤講師など人に教える仕事をするようになりました。そして大阪芸術大学アートサイエンス学科の教員を経て、母校に戻ったというわけです。

丸太もメディアアート?

仕事をしながらどんな作品を作っていましたか?

2011年制作の「Flowerium」は、iPhoneやiPadで使えるアプリ。画面に触れると種が撒かれ、芽が出て花が咲きます。プログラムのルールに基づいて成長するので、作者の僕もどんな花が咲くか分かりません。花の種類は無限に近いバリエーションがあります。デジタルの「仮想生命」にとても興味があるんです。

https://makotohirahara.com/portfolio/flowerium/

一般的にメディアアートというと「ハイテクを使った表現」というイメージがありますが、それは狭義の意味だと思います。メディア=媒体。その媒体だからできる表現を考えることが本義だと思います。
丸太のスライスに、その木が生えていた地形を彫刻した作品「GeoLog YoshinoKawakami」は、プラスチックでも金属でもなく、その場所の木を使うことに意味があります。見た目は完全にアナログですが、僕の中ではこれもメディアアートです。

https://makotohirahara.com/portfolio/geolog-yoshinokawakami/

高校生に伝えたいこと

母校に教員として戻っていかがですか?

僕の学生時代にはなかった「基礎造形実習」はとても手厚い内容。いろんなジャンルの手仕事を経験するので、造形力の基礎のレベルが底上げされています。

高校生に伝えたいことはありますか?

最初に話した通り、僕は高い志があって入学した学生ではありませんでした。でも、いろんな先生、いろんな価値観に出会って今があります。今はあまり評価されていないジャンルでも、やってみたらピタッと合うものがあるかもしれない。おもしろい人、変わったことをしている人もいる。そんな多様な価値観を学生に紹介したいですね。

授業の様子

取材後記〜脳が開かれるような体験〜

記事には書ききれないほど、さまざまな作品を見せてくれた平原先生。独創的な視点と、作品に至る思考と創造の積み重ねのエピソードは大変興味深く、脳の普段使っていない部分がパカッと開かれるような体験となりました。デザインやアートに限らず、工学や先端テクノロジーの分野を目指す高校生にも、ぜひ一度、平原先生の世界観に触れてほしいと思います。

平原先生のポートフォリオはこちらから
https://makotohirahara.com/portfolio/

PROFILE

視覚デザイン学科 准教授
平原 真(ひらはら まこと)