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2023.03.30 学生

ものづくりの世界を広げるプロトタイピングルーム ~サポートスタッフ座談会~

2月中旬の小雪がちらつく中、キャンパスのほぼ中央に位置するプロトタイピングルームには、馴染みの面々が集まっていました。
プロトタイピングルームは、アイデアを素早く形にするための3Dプリンタ、レーザーカッター、3Dスキャナなどのデジタルファブリケーション機材を備える長岡造形大学の「ファブラボ」です。この施設で、日々、専門の職員とともに学生に機材の操作を教えたり、ものづくりの相談にのったりしているのがプロトタイピングルーム学生サポートスタッフです。
この春に卒業を迎えるメンバーを交えて行われた座談会にフォーカスします。

勇気を出して扉を開けることから始まった

プロトタイピングルームのサポートスタッフは学年、学科を超えたメンバーで構成しています。(2023年現在、6名)
スタッフのひとり髙田康平さん(視覚デザイン学科4年生)は、入学後2日目にプロトタイピングルームに立ち寄り、先生に教わりながら3Dプリンタで簡単な立体造形物を制作したことが忘れられないと振り返ります。入学前は絵を描くこと=デザインという認識でしたが、考えながら手を動かして様々な機材に触れているうちに、ものづくりの手段は多様であることを知り、幅広く「デザイン」を捉えられるようになったと話します。

学生スタッフの髙田さん(視覚デザイン・4年)

妹分の伊佐知実さん(視覚デザイン学科1年生)も、入学式の翌日にプロトタイピングルームをのぞき込み、そこから2カ月間、毎日通い続けてスタッフとして活動するようになりました。もともとIllustrator(グラフィック系のソフト)の操作はできたものの、3Dプリンタで造形物をつくるために必要な3Dデータをつくることに試行錯誤しました。パソコン画面上のデータが立体に生まれ変わることが楽しく、今ではスタッフのしごとの合間に自分好みのカチューシャやキーホルダーなど様々なものづくりに取り組んでいます。

学生スタッフの伊佐さん(視覚デザイン・1年)

スタッフ同士の刺激でものづくりの幅が広がる

プロダクトデザイン学科2年生のスタッフ 永田栞理さんは、レーザーカッターを駆使し和紙に彫刻をほどこすほどの腕前を身に付けました。入学前から出身地の伝統工芸に興味があり、プロダクトデザインとの組み合わせによるものづくりをしてみたいとプロトタイピングルームの門をたたきました。レーザーの照射により紙類はすぐに焦げてしまうそうですが、永田さんの技術は専門の職員も一目を置くほど。永田さんは、プロトタイピングルームの機材を用いた加工と伝統工芸を絡めた新しいものづくりの研究に、今後取り組んでいきたいと意気込んでいます。

学生スタッフの永田さん(プロダクトデザイン・2年)

スタッフの福濱実稲さん(視覚デザイン学科4年生)が心がけたのは、プロトタイピングルームにあるすべての機材に触れて操作してみることだったと言います。使い方のむずかしい工具や機材も、ノートにびっしりとイラスト入りの自分マニュアルを作り込み、職員も驚きの短期習得。同級生スタッフ髙田さんの機材を操作する姿を見ながら学び、私でもできるのだから、いろんな学生にものづくりの幅を広げてほしいとの思いから、自らスタッフブログの記事を通して発信をしてきました。このような活動もあって、演習課題や制作活動で多くの学生がプロトタイピングルームに立ち寄ってくれてうれしいと話します。

学生スタッフの福濵さん(視覚デザイン・4年)

もっと早く知っていればよかった

一方、卒業研究の制作中にプロトタイピングルームでの加工に魅力を感じた学生もいます。この日、サポートスタッフとともに制作をしていた4年生の平石 優さんは3カ月前にプロトタイピングルームを使い始めたと言います。レーザーカッターを用いてアクリル素材の加工作業に挑戦したそうですが、さらに3Dプリンタも使ってみたかったと時間の経過を惜しんでいました。

サポートスタッフのみなさんが、毎日、プロトタイピングルームで活動をすることで、利用しやすい雰囲気となり、学年や学科を超えて様々な学生が出入りできるようになったと、職員の小川 輝男さんは感謝の思いを話します。スタッフには、ほかにも3年生の多熊結花さん、4年生の室田陽輝さんがおり、最新の3Dスキャナを使いこなし、スキャンデータから3Dプリンタなどへ展開しものづくりをしていくことを頼もしく見ていたと言います。

新たな施設で、変わらぬ思いで

2018年に稼働したプロトタイピングルームは、2024年秋の新校舎誕生とともにリニューアルする予定です。新たな学科体制やカリキュラムに対応し、さらにその役割を拡大していきます。

2024年秋完成予定の新校舎イメージ図

職員の伊東嗣泰さんは、プロトタイピングルームでのものづくりの経験を、今後の進路や人生の糧にしてほしいと話します。
スタッフの髙田さんが、日常的に煩雑であったプロトタイピングルームの機材予約の問題を解決するために、予約システムを構築したことで、ユーザー側の学生も運営側の職員・スタッフも、ともに利便性が向上したそうです。

職員の小川さん、伊東さんは、長岡造形大学でのデザインやものづくり経験を活かして、社会をよりよくする新しい視点でのものづくり・デザインに挑戦し、いつか活躍の様子を披露してほしいと笑顔で話していました。

 

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