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2021.06.18 教員

「プロトタイピングルーム」で好奇心を形に

大学院 造形研究科 イノベーションデザイン領域 森本 康平助教
アイデアを素早く形にする。そして、作りながら考え、デザインやクオリティ、機能を高めていく――そのために、多彩な機材と工具を揃え、森本康平先生をはじめとするスタッフがサポートする「プロトタイピングルーム」。全学部のトライ&エラーが集積する「プロトタイピングルーム」では、自身のアイデアを形にすることにとどまらず、最先端テクノロジーに触れることができ、また、ここでの学科や学年を超えた交流がきっかけとなり、新たな視点や発想が生まれることも。そのモノづくり施設について森本康平先生に伺います。

3Dプリンターなど多彩な機材が並ぶ

「プロトタイピングルーム」はどんな施設ですか?

アイデアやコンセプト、つまり頭の中のイメージを形にするための場所です。高精度の造形物が作れる光造形型3Dプリンターをはじめ、タイプの異なる3Dプリンター、レーザーカッター、カッティングマシンなど幅広い機材と工具を揃えていて、パソコンで作成したデジタルデータを元に機械に加工させることができます。

プロトタイピングルーム内観

その利点は、スピードとクオリティです。たとえば、木工製品では、木を手で掘り出すとしたら技術も時間も必要ですが、ここで機械に加工させれば、初心者でも高いクオリティで立体物を作ることが可能です。また、失敗したり一から作り直す必要が発生したりしてもダメージが少ない。そして何より、実際に作ることで頭の中で考えるだけや、言葉で伝えるだけよりも多くのフィードバックが得られ、研究や制作活動が大いに進みます。

プロトタイピングルームの設備

学生の交流がモノづくりを加速する

どういう学生が使えるのでしょう?

本来は大学院の付帯施設なのですが、多くの学生に新しいテクノロジーに触れてほしいという観点から、「プロトタイピングルーム」は全ての学生に開かれています。また、ここでは課題制作だけでなく、プライベートな作品制作もできます。中には、ここでの試作を経て、自身でプロダクトブランドを立ち上げ、起業につなげた学生もいます。

また、全学科の学生が出入りすることで生まれる交流も有意義な制作に繋がると考えます。「こんなものも加工できるのか」「こんな大きなサイズの製品が作れるのか」「こだわるとそんなにきれいな仕上がりになるのか」などの発見や刺激が得られ、自分自身の制作に活かすことができるのです。

笑顔で話す森本助教

建築・家具・アートなど制作領域は広い

どんなものが作られていますか?

プロダクトのプロトタイプ(試作品)制作をはじめ、アート、クラフト、ファッションなど幅広い領域で活用されていますが、一番多いのは建築領域ですね。今は、環境や自然と一体なった有機的形状が多いのですが、3DCADで作った設計データを3Dプリンターで出力すると複雑な形が再現できるので多用されています。また、文化財など貴重な建築物の構造を確かめるため、手に取れるような縮尺で形にするケースもありますし、大型のレーザーカッターを用いた地形模型の制作もよく行われます。

制作物の画像

そのほかでは、木材やアクリル板をレーザーカッターで切り出し、施設名や注意喚起のためのサイン(標識、表示)を作る学生も多いですね。また、大きなモノを作りたいという声が多く、それに対応すべく大型に対応できる3Dプリンターを導入しました。その結果、大型の建築模型はもちろん、実際に身に着けられる靴やヘルメットなど、身体サイズの作品制作もできるようになりました。

制作物の画像

発想×テクノロジーが可能性を拓く

ひとりひとりが自由に製作することができるのですか?

オープン時間内なら自由に使えます。また、3Dプリンターによる造形で時間がかかる場合には、クローズ後も自動稼働で対応できます。また、機材の詳しい特徴や使い方はオンライン動画で学習することができますが、それではわからない、そもそも制作について相談がしたいという場合には、直接ここへ来て、スタッフに声を掛けてもらえば、専門的な観点からアドバイスします。

自由に実験的な制作ができるということは、トライ&エラーが集積するということです。そのため、ここに来て、様々な機材や工具とともに、先輩たちの成功例や失敗例に触れることで、自然に「挑戦したい」という気持ちが高まるはず。そして、自身の発想とテクノロジーを組み合わせることで、今までにないもの、想像していなかったものが生まれる――だから、ここは、デザインを志す学生にとっては貴重な施設だと思います。

壁に描かれたプロトタイピングルームの表札

好奇心をサポートするツールを開発中

先生ご自身は今、何か制作していらっしゃいますか?

制作活動を拡張するためのツールや材料を制作しています。一つは、3Dデータの作成支援ソフトです。3Dプリンターなどのデジタルファブリケーション機材を活用するためには、3DCADなどのソフトウェアでデジタルデータを作成する必要があります。データの作成には専用のソフトが必要となり、初心者にとっては敷居が高いかもしれません。学ぶ機会のない一般の市民にとっては、なおさらです。そこで、より多くの人が手軽に使えるよう、ブラウザ上で簡単に使える3Dデータ作成ツールを開発しています。また、自然由来の3Dプリンター材料の研究も行っており、造形実験用の3Dプリンターを、ここの3Dプリンターを使って作っています。

デジタルデータと聞くと難しいと思われがちですが、スタッフがコミュニケーションを取りながらサポートするので、まずは立ち寄っていただきたい。じっくり腰を据えて考えることも重要ですが、試しながら考え、失敗の中から学ぶというスタンスも大事だと思います。この施設はそのようなチャレンジングな制作を支援する場なので、好奇心や探求心に身を委ね、制作の幅を広げてほしいと思います。

インタビューに答える森本助教

PROFILE

大学院 造形研究科 イノベーションデザイン領域 助教
森本 康平(もりもと こうへい)