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とじる
2022.07.15 教員

デザイナーは、幸せをつくる幸せ者

視覚デザイン学科 助教 池田 享史 先生
東京原宿にデザイン事務所「design service」を構え、第一線で活躍する池田 享史 先生。2021年4月に視覚デザイン学科の助教に着任し、週に2〜3回、長岡と東京を往復して教員兼デザイナーとして活動しています。現役デザイナーがなぜ大学教員に? なぜ新潟県長岡市へ? 気になる経歴から授業内容までお話しいただきました。

先生になりたかったグラフィックデザイナー

長岡に来るまでの経緯を教えてください。

美術大学で教員免許を取得しましたが、デザイン愛が熱すぎて(笑)。卒業後は教員ではなくデザイナーの道を選びました。広告会社やデザイン事務所を経て29歳で独立。今はテレビの広告を中心に、ブラインドサッカー全日本代表や、Make A Wish Japanボランティア活動・研究も行っています。

左:「LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2022」ポスター
右:フジテレビ BSフジ ニッポン放送 3波連合プロジェクト「楽しくアクション!SDGs」ポスター

 

人生100年時代と言われる今、僕は折り返し地点です。そこで「これからは好きなことをさせてもらう!」と関係者や事務所スタッフに宣言。ま、ずっと好きなことしかやってないんですけど(笑)。ともかく、かつて目指した「教える」仕事をするために長岡に来ました。

“チイキキョウソウ”って?

なぜ長岡造形大学だったのでしょうか?

興味を惹かれたのは「地域協創演習」という授業。キャンパスを飛び出して、学生がデザインを通じて地域や企業と取り組む活動です。そこにもっと力を入れたいと感じました。

長岡造形大学の学生のインテリジェンスの高さを感じたことも理由です。日本の美術系大学では、美しい色や几帳面な作り込みによるいわゆる「上手な絵」が描けることを求められますが、私は絵が得意でではなくとも、デザインは出来るという事を伝えたいと考えています。

プロジェクトで何かを形にする時、一人で自己完結することは多くありません。大事なのは「誰のために何を伝えたいか」という企画(問題解決)。チームを組んで、写真を撮る人、イラストを描く人、コピーを書く人と一緒にやればいい。音楽プロデューサーだって、ピアノがプロ並みに上手いとは限りませんよね。

日本の総広告費は約6.8兆円の市場規模と言われています。その産業の中で大学との「歯車」になれる自分の強みを、ここで見つけて磨くことが重要だと思います

デザイン×ボランティア

実際にどんな授業をしているのですか?

地域協創演習のプロジェクトを3つ紹介しますね。

1つは「Make A Wish」というボランティア団体の活動です。難病を抱える子どもの夢を叶えることを目的に1980年にアメリカで設立され、日本でも30年の歴史があります。

昨年度の授業では、視覚デザイン学科の天野誠先生とともに、白血病を患う小学生 坂田裕奈さんの「本を作りたい」という夢をサポートしました。彼女が病気について書いたレポートをもとに、学生がイラスト作成や編集作業を9か月ほどかけて行い、本を作り上げました。

完成した『がんと闘う戦士の物語』(坂田裕奈 著)は、予想以上の反響。坂田さんは「第2弾を作りたい」と意欲に燃え、「生きたい」と願う力につながっています。

左:『がんと闘う戦士の物語』(坂田裕奈 著)表紙 / 右:著書と坂田裕奈さん

デザイン×ラジオ

2つめはラジオ、「FM NAGAOKAメディアプロジェクト “RADIO CAMPUS”」です。地元のFMながおか(80.7MHz)で、8月6日(土)21:15~、毎週15分番組をオンエアします。テーマは「学生が作る、長岡のためのクラフトラジオ!」。参加学生から企画を紹介してもらいましょう。

写真左:竹中実玖さん/右:伊藤 佑里香さん

「私はここ長岡市が『学都』を目指していることから、他大学の学生へのインタビュー番組を企画しました。もともとラジオが好きなので楽しみです。一方で、実際に世の中に出る番組を作ると思うと責任も感じますね」(視覚デザイン学科2年・伊藤 佑里香さん)

「私は、長岡の中高生に向けて謎解き番組を企画しました。ラジオの特性を活かして、大学のアトリエなどいろいろな場所の音を調査し、音で大学の雰囲気を感じてもらいます。この授業の参加者は、学年も学科もさまざま。違う視点のアイデアに触れられるのはとても新鮮です」(視覚デザイン学科2年・竹中 実玖さん)

 

ラジオの企画書。フォーマットに決まりはなく、学生がそれぞれ提案するため、並べた時にも驚きがある。
/ラジオの企画発表会の様子

 

FMながおかパーソナリティーの佐藤央さんからもメッセージをいただいています。

「造形大生がプロデュースするラジオ番組。初企画ではないでしょうか? ぜひラジオの魅力にたっぷり触れながら、番組を作ってもらいたいです。先日、学生一人ひとりの熱のこもった企画発表会に参加させてもらいました。すでに面白いです。放送スタートをどうぞお楽しみに!」(佐野央)

デザイン×アップサイクル

3つめは、美術・工芸学科でガラス工芸専門の中村和宏先生との協同プロジェクト(Upcycle project 「The ニュー」)です。日本酒の四合瓶をカットして絵付けを行い、焼き直してタンブラーを作ります。アップサイクル(デザインやアイデアで付加価値を加え、新たな製品に生まれ変わらせること)を施したタンブラーは、長岡市のふるさと納税の返礼品となる予定。長岡の長岡による長岡のためのデザインです。

左:四合瓶に絵付けを施したもの /右:絵付けしたガラスを焼き直し、加工する様子(池田先生と中村先生)

社会との接点は、デザインになくてはならないもの。私が教員をやりながら東京でデザイナーを続ける理由もそこにあります。繰り返しになりますが、クリエイティブ活動は1人の力で完結することは少ない。私が関わる授業では、外部のプロフェッショナルとできるだけ触れ合う機会を作り、他大学にはないような授業を組み立てています。そのコネクションや体験を提供するのが、私がここにいる意味だと思っています。

高校生にはぜひ長岡造形大学に来てもらい、社会との接点を見つけ、デザインの面白さを再発見してほしいですね。

取材後記〜趣味はデザイン〜

「先生の趣味は?」との質問に「デザイン!」と即答してくれた池田先生。「自分の好きなことができて幸せ」という言葉に、デザインへの尽きない熱意を感じました。デザインを通じて周りを幸せにし、自分自身も幸せになる。デザインの一般的な枠にとらわれない心躍る体験が、池田先生の授業にはありそうです。

PROFILE

視覚デザイン学科 助教
池田 享史(いけだ たかふみ)