「JAGDA国際学生ポスターアワード2020」長岡造形大学からは4名入賞!山本先生が各作品を紹介します
長岡造形大学の学生たちが、授業を通して参加を続けている「JAGDA国際学生ポスターアワード」。入賞者は年々増え続け、2020年には、4名の学生が賞を獲得しました。今回は、視覚デザイン学科で教鞭を執り、ポスターアワードの制作授業も受け持つ先生にお話を伺いました。
目次
JAGDAと造形大学の長い交流
まずは、JAGDA国際学生ポスターアワードと、長岡造形大学や新潟県との関係についてお聞かせください。
長岡造形大学では、今回だけでなく、以前からJAGDA国際学生ポスターアワードへの取り組みを続けてきました。そもそも、「JAGDA国際学生ポスターアワード」は、日本最大のグラフィックデザイナー団体により設立されたアワードです。初代会長は、1964年に開催された東京オリンピックのポスターや、大手通信会社のマークなどを手がけた亀倉 雄策氏なのです。
亀倉 雄策氏が新潟出身であることもあり、JAGDAは新潟での活動も活発に行ってきました。例えば新潟のお土産を、東京と新潟のJAGDA所属デザイナーがタッグを組んで“リデザイン”する試み。この試みには、私もデザイナーとして参加しました。
ほかにも、亀倉雄策賞展やJAGDAの新人賞展を近代美術館で開催したことを契機に、JAGDAとの交流が始まりました。JAGDA国際学生ポスターアワードには、国内だけのアワードであった頃から、学生たちの課題として参加を続けてきました。
2020年は、“マネー”をテーマにしたポスター制作で、4名の学生が入賞。各作品への評価を、山本先生から伺います。
【金賞】distance/高田 康平さん(2年生)
こちらの作品を観て、先生はどのように感じましたか?
モチーフの選び方が非常に上手く、ほかにはない発想だと感じました。
銀行の通帳という無機質なものをモチーフにして”マネー”を表現しながら、父親と母親からシルエットと、心の通ったメッセージがある。学生ならではの、遠く離れた両親を想う心を、そのまま作品として活かしているのも良い点です。
授業で製作途中のものをチェックしたときから「飛び抜けているな」「何かの賞を取るのではないか」と感じました。
【銀賞】資金源/寺尾 真優さん(3年生)
こちらの作品を観て、先生はどのように感じましたか?
写真のコラージュを使ったビジュアルが上手く、視覚に訴える作品だと感じました。
水力や火力などのさまざまな資源を、“資金源”として財布の中に入れるという発想に、独創性があります。ビジュアルの強さ、アイデアの独特さが、授業の中でも高評価でした。
【銅賞】想像力/古川 遥菜さん(2年生)
こちらの作品を観て、先生はどのように感じましたか?
子どもの頃、“どんぐり”や“貝殻”をお金として扱い、遊んでいたイマジネーションを活かした作品です。
作品のテーマ・イマジネーションに合わせて、イラストのタッチをやわらかいものにしているのも良いなと感じました。
【銅賞】変換/今川 都華さん(3年生)
こちらの作品を観て、先生はどのように感じましたか?
牛が切られ、流れる血がお金に“変換”されていく。海の中を自由に泳ぐ魚、山林に生える木々が人の手で掴み取られ、お金へと変わっていく…
社会風刺の要素も入れながら、“マネー”というテーマを表現した作品です。
より良いデザイナーを生み出すために
最後に、なぜJAGDA国際学生ポスターアワードに参加し続けてきたのか、これからの意気込みと併せてお聞かせください。
JAGDA国際学生ポスターアワードに参加し続けてきた造形大学。年々、入賞する学生が増え続けていることも、個性的な作品に触れられることも、学校として喜ばしいことです。
今年は、例年に比べても2年生の入賞が多く、「学生たちの実力が上がってきている」と感じることも増えました。
「そろそろ、グランプリを獲る学生も出るんじゃないかな?」と、感じています。
JAGDA国際学生ポスターアワードは、テーマは決まっているものの、自由な発想で制作できる場です。学校を卒業し、デザイナーとして働くようになれば、「何のためのデザインなのか」「クライアントは何を求めているのか」など、デザイナーを縛る“フレーム”は増えるでしょう。
「デザインは、他人のためのもの」です。クライアントの商品やサービスの魅力を、それを必要としている人々に届けるのが、デザイナーの仕事だと思っています。だからこそ、フレームを守って制作することは大切です。
しかし、フレームを超えた自由な発想を持つことも、より良いデザインをするためには欠かせません。これからも、JAGDA国際学生ポスターアワードへの参加を通して、より良いデザイナーを輩出していきたいと思っています。
PROFILE
造形学部 視覚デザイン学科 教授
山本 敦(やまもと あつし)