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考えること、想像することが好きな人へ 〜土田学部長インタビュー〜
長岡造形大のすべてがアップデート
新しい造形学部は、どのように生まれ変わるのでしょうか?
ひとことで言うなら「大学全体をアップデートさせる」ということになると思います。背景にあるのは、デザインのボーダーレス化と拡大化。デザインのボーダーレス化とは、例えばスマートフォンは一見プロダクトデザインのようですが、画面デザインも重要。これを立体デザインか平面デザインか分けること自体、ナンセンスな時代なんですね。デザインの拡大化でいうと、コミュニティデザインやサービスデザインなど、形のないものにもデザインが必要とされています。新しい造形学部では、この「デザイン思考」の学びに一層力を入れていきます。
カリキュラムも見直します。具体的には科目数を20%削減する予定です。というのも、これまで教員が「あれもこれも教えてあげたい」と一生懸命で、科目数が増加。びっしりと時間割が埋まっていました。新しい造形学部では、学生がもっと自分の意思で学べる環境を構築します。
2024年には新棟もオープン。3Dプリンタなどを備えたプロトタイピングルームを作ります。既存の校舎もリニューアルします。現在のアトリエは1人1つずつ作業テーブルがありますが、新しいアトリエは学生同士のコミュニケーションの場としたり、大きな作品の制作スペースに変えていく予定です。
さまざまなレイヤーで学び、実践できる
新しい造形学部の魅力を教えてください。
それぞれの学科についてお話しします。まずはデザイン学科。新たにテクノロジー×(クロス)デザイン領域を作ったのは、テクノロジーの進化によりデザインの可能性が広がったことが背景にあります。例えば車のウインカー。以前はパチパチ点滅するだけでした。今はフワッと明るくなってストンと消えるなど、人の感覚に訴えるものが増え、それも比較的簡単なプログラミングで作れるようになりました。
従来のデザイナーの主な役割は「コンセプトの提示」で、それをよりリアルに伝えるために模型を作っていました。しかし実際に動くものまで作れるようになった。新しいデザイン学科では、実装化までできるデザイナーを目指すことができます。大事なのは「何を伝えたいか」「何をデザインしたいか」によって多様な表現の手段が選択できることだと思います。
建築・環境デザイン学科については、本学ではもともとランドスケープ、都市計画・まちづくり、文化財保存・活用など、いわゆる建築だけではなく、建築・環境デザインに関わる幅広い分野を学べることが特徴でした。「人と社会」からの視点、「自然や環境」からの視点という2つの視点からデザインをとらえてきたんです。そういった点は維持しながらも、分野を超えた学びにより力を入れていきます。また、以前から建築士の受験資格の取得には力を入れてきましたが、これも堅持していきます。
美術・工芸学科については、そもそもなぜデザインの大学にアートの学科があるかというと、歴史的に見て「デザイン」は「アート」や「工芸」から生まれたもの。何かをデザインするにしても問題発見、問題解決のアプローチだけでは形になりません。このカーブをどうするか、この色をどうするかという「思い」を形にするのはアートや工芸の得意分野。デザインを形にする大事なピースです。
現代のアートは社会をものすごく意識しています。「この時代にこういうアートを提案したら、強いインパクトを与えられる」。そうした考えは、デザインとの親和性も高いのです。新しい美術・工芸学科は「社会を意識し、自分の思いをいかに昇華するか」という学びに拡大していく方針です。
長岡は4つの大学と1つの高専があるめずらしい地域です。これらの学校と企業が交流する活動拠点「NaDeC BASE」もあります。学科内、学部内、大学外、さまざまな階層で人とつながり学べる環境も、大きな魅力ではないでしょうか。
境界を飛び越える「デザイン」の学び
学生に望むこと、高校生へのメッセージをお願いします。
本学に入学したら、教員も施設もどんどん活用してほしいです。そして、いわゆるプロのデザイナー以外にも将来の選択肢がたくさんあることを分かってほしいです。
デザインは理系でも文系でもなく、美術系でもない。高校時代にどんなバックグラウンドがあっても受験できる体制があるので、「何々系」にとらわれずに自分の将来を考えるといいと思います。考えること、想像することが好きな人には向いていると思いますよ。
本学には日本中の地方から学生が集まります。北海道、沖縄、九州出身の学生も多いですね。人間関係も含めて、大学生活を大いに楽しんでほしいと思います。
※設置計画は現在構想中であり、内容に変更が生じる場合があります。
PROFILE
学部長
土田 知也