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とじる
2023.08.08 教員

この大学をテクノロジーとクリエイティブを学べる「特別な場所」に

デザイン学科教授 山本 信一 先生
2023年度にスタートした新・デザイン学科の教授に着任した山本信一先生。主に「テクノロジー×(クロス)デザイン」の授業を担当します。
山本先生ってどんな人? これまで手掛けた作品は? いろいろなお話を聞いてきました。

映像やアートで街にポジティブな変化を

先生の専門分野について聞かせてください。

専門はメディアアートや映像です。映像の中でも、デジタル技術を使って図形や色彩を動かすデジタルモーショングラフィックスを出発点に、テレビ番組のタイトルや企業のモーションロゴといったさまざまな案件を手掛けてきました。現在は都市、空間、新しいメディアに映像を拡張し、屋外や没入空間に実装するようなプロジェクトを多く手掛けています。

「MUTEK.JP」 Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express (Photo by Ryu Kasai)

実際にはどんなものがありますか?

最近では電子音楽とデジタルアートの祭典「MUTEK.JP」でのオーディオビジュアルライブや、「新宿東口の猫」の企画・ディレクターを務めました。「新宿東口の猫」は、もともとクロス新宿というビルの街頭ビジョンを使った広告出稿につなげるための媒体の広告です。結果的に大きな反響をいただき、広告面での成功、さらにはこの猫を見てから周囲のお店に買い物に行くといった経済効果も生まれたと聞いています。将来的な目標であった、映像やアートで都市の課題にアプローチすること、そして映像がランドマークとなって、インバウンドを含めた新しい人流を生み出すことも達成できました。

Noesis@MUTEK.JP / Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express (2018) (Photo by Shigeo Gomi)

地球ディスプレイGEO-COSMOS(日本科学未来館)でのオーディオビジュアルパフォーマンス MUTEK.JP edition 3

「新宿東口の猫」はスタート直後から大きな話題になりました。ちなみに、なぜ猫だったのですか?

日本のポップカルチャーをフランスに紹介する国立新美術館の企画展、『MANGA⇔TOKYO』展に参加し、日本のキャラクターカルチャーがアニミズム文化に由来するというヒントをいただいたことと、新宿区のアートフェス「新宿クリエイターズ・フェスタ」に7年間関わって、新宿地区のビジョンにどんな映像が最適か考察してきたことなどがあります。その新宿アートフェスの縁で新しいビジョンが設立される際にお声がけいただき参加しました。
私がいままで手掛けていたような硬質なアート作品の事例は、海外のビジョンでもすでにあったことと、新宿のあの場所には最適と思い、いくつかの案とともに提案しました。

「新宿東口の猫」DOOH作品

進行中のプロジェクトと大学の学びをリンク

そもそも、先生が映像やアートに興味を持ったきっかけは?

私、YMO世代なんです。テクノポップやシンセサイザーに象徴されるYMOの音楽カルチャーに、中高生の頃どっぷりはまって。私は音楽ではなくビジュアルでやりたいなと思いました。

今回長岡造形大学に来たのは、「テクノロジー×(クロス)デザイン」という分野が立ち上がると聞き、興味を掻き立てられたためです。私が学生の頃は、そういった分野を学べる学校はごくわずかでしたし、アートとテクノロジーの位置関係やそれらとの関わりもまだまだ黎明期でした。その後、「モーショングラフィックス」という分野の名前が付いて成熟したかに見えましたが、今またイノベーションが起きています。

たとえば以前はCGで人を動かす場合、まずは人間の形を作り、そこにさまざまな動きをつけるためにも専門技術が必要でした。今は、人なら人、車なら車といった素材がすでにあり、それらを組み合わせて比較的手軽に作品を作ることもできます。テクノロジーとそれを取り巻く世の中の状況はどんどん変わり、新入生が4年生になる頃にはまったく違う世界が広がっているかもしれません。

「3D没入型ハーフドーム研究」

「Sanctuary / Corey Fuller + Synichi Yamamoto (2022) 京都府域展開アートプロジェクト「ALTERNATIVE KYOTO – もうひとつの京都 –」
京都向日神社でのインスタレーション」

「Noesis@ETERNAL Art Space /  Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express  (2020)」

「Colure / Synichi Yamamoto + Corey Fuller (2019)
池袋西口公園再開発 GROBAL MUSEUM」

Corey Fuller + Break Ensemble x Synichi Yamamoto (2020)

Dark Energy (2015) @YUNKA KISION
新宿クリエイターズ・フェスタ

Synthetic Landscapes (2019)
都市回遊型XR作品
Photo by MUTEK.JP

大学では学生と一緒にどんなことをしたいですか?

私は、大学で講義をしながら仕事やアート制作も並行しています。「新宿東口の猫」は新しいバージョンができ、大阪の梅田では3Dビジョンコンテンツ「ウメダのウドンチャン」が放映されています。私の現在進行中のプロジェクトと、学生への教えをうまくリンクさせながら、長岡造形大学をテクノロジーとクリエイティブの学びにおいて全国でも特別な場所にしたいと考えています。

あとは、私がYMOを見ていいなと思ったように、今の学生も同じように琴線に触れる作品があったら、それについて一緒に話すのは楽しいでしょうね。私達の時代はインターネットがなかったので、情報もアートも流行も「時間軸」で積み重ねられていました。でも今は、ネット上に70年代も80年代も2020年代も同じように並べられています。その中から「私はこれが好き」とフラットに選び取る今の学生の感覚は新鮮ですね。

先日の授業の様子。学生の映像作品をモニターに映し鑑賞。

広く必要とされる将来性のある分野

どんな学生にテクノロジー×(クロス)デザインを学んでほしいですか?

テクノロジー×(クロス)デザインはこれからの分野です。新しいことをやりたい、開拓したい人にはとてもいいのではないでしょうか。クリエイティブを学んだら、どんな道も切り開けると思います。

最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

さまざまな仕事がAIに置き換わったり、また、世の中が多様になればなるほど、それぞれの分野に「クリエイティブ」で「デザイン感覚」を持った人が必要になっています。
私がデジタルモーショングラフィックを黎明期から立ち会って来たように、どんどん新しいジャンルの生まれるデジタルクリエイティブは、みなさんが第一人者になれるような未来のある分野だと思います。

PROFILE

デザイン学科 教授
山本 信一

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