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とじる
2021.12.06 教員

発想×企画×デザインでコミュニケーションをつくる

視覚デザイン学科 准教授
徳久達彦先生

web黎明期からwebデザインなどデジタルコンテンツ制作に関わってこられた徳久達彦先生のゼミでは、進化する技術の変化を意識しつつ、人と人、人と社会をつなぐコミュニケーションデザインを追求しています。

「誰と」「いつ」「どこで」「どのように」コミュニケーションを取り、「どのような」価値を生み出すか、「どのような」体験を与えるか――そのためにデザイナーに求められることは何かについて徳久先生に伺いました。

型にはまらないアイデア

web黎明期からwebデザイン制作に関わってこられたと伺いました。

大学卒業後しばらくして個人がコンピューターを所有し、インターネットに接続しだしました。もともと「新しいモノ好き」なので、それらのデジタルコンテンツに興味を持ち、仕事になっていきました。でも初期のwebは通信速度も遅く印刷媒体ほど視覚的な仕掛けはできなかったです。2000年近くになりいろんなことができるようになってきて、webデザインを含むデジタルコンテンツの制作が楽しくなりました。
その後、30代で独立し主に広告系のwebコンテンツ制作を行いつつ40代で大学院に進みました。おじさんですがアイデア出しでは若い人に負けず得意でした。これは自分がスゴイ訳ではなく、アイデアは蓄積してきた発想や経験が組み合わさったり新たなものと結びついたりして生まれるということの実感でした。単純に知識と経験の蓄えがあるってだけなんですよね。

インターネットの仕事では前例や規制が少なく、企画も表現も自由度が高いです。また特性として強制的に見せることがしにくいので、見に来てくれるような仕掛けを考えることからはじまり、来てくれた人に良い体験を提供するために型にはまらない企画や表現を考えてきましたので、この仕事を何年かしてる人は、だれでもいろんな蓄えができてるんじゃないですかね。

最新技術は最初は難しいものですが、しばらくすると知見がたまり、コンテンツが次々と開発され、手軽に扱えるようになります。そうなると、価値は技術を「使ってること」から、技術を「どう使うか」に移ってくるので、何を・どこに・どのように使うか、発想や企画、ストーリーを構想すること、さらにデザイナーはそれを人に響くビジュアルで表現する力が必要になってきました。

より多く、よりはやく。

先生はどのように指導されているのですか?

たくさん話をしてもらおうとしています。学生と教員も学生同士も。それは一つの考えに縛られず広く発想しいろんな意見と出会うことと、自分の考えを説明するために言語化し考えをまとめるため。また、テーマや課題の「もと」を見極めるため。特に視覚デザイン学科なのでビジュアルをつくりたくなるのですが、表面的な表現だけで戦えない時代なので、本当に大事な部分がなにかを考えて、なぜココロが動くのか考えるようにしています。同時に脳内で考えているのではなく、他人に伝えるためにも、自分の考えをテストしてみるために、より多くよりはやく形にするようにも話しています。

新しい提案をするので、当然その正解やゴールは私も知らないです。だから一緒に話して考えようと思っています。いろんな先生方の力も借りながら、それぞれが「目指すもの」をつくってくれたらいいな。と。アウトプットの形にはこだわりません。場合によっては完成度よりもチャレンジ自体を重視することもあります。完成することを目標にして、できることの範囲で形にするのは他の課題でやってるので、ちょっと背伸びして得られたり得られなかったりもまた次に繋がる経験ですね。

テーマは「雰囲気を感じる」

具体的な取り組みを教えてください。

たとえば、去年と今年はコロナ禍でリモート開催となったオープンキャンパスの企画。大学が提供してる情報はいろいろありますが、感覚的な情報が足りていないと思って、テキスト化できないことも含めて雰囲気を感じるものにしようとゼミのメンバーで取り組みました。

企画では、高校生に身近な感覚でオープンキャンパスを楽しんでもらいたいと思い、Vtuberを使って高校生からの質問に答えました。徳久先生も快く協力して下さって、指導というよりは、一緒に模索しながら取り組みました。(泉南緒さん/4年)

学生生活のいろいろなことを10秒で説明する動画や授業外で活躍する学生の紹介などもゼミ全体で企画しました。学生が語ることでリアルな学校の雰囲気を感じられることがポイントです。(小島実奈さん/4年)

長岡造形大学の「ここが好き」~学生の声

長岡造形大学の好きなところと、学校で取り組んでいることを教えてください。

造形大では、学生が自主的にイベントやワークショップなどを企画しています。そうやってみんなが楽しそうに活動しているところが造形大のいいところだと思っています。積極的に自分から行動できる学生が多く、刺激をもらえることが多いです。

現在は卒業制作に取り組んでいて、私は富山を素材にした乙女ゲームを制作しています。自主的に学んだゲームデザイン×出身地の富山県のいいところアピ―ルで、もっと富山県のことを知れるようなものを作っています。(泉南緒さん/4年)

長岡造形大の特徴は、先生の数が多いこと。それも常勤の先生が多いので、いつでも相談でき、1対1で学べる機会もあります。私はよく徳久先生の研究室に行くのですが、いい意味で話が脱線し、その過程で新しい発想や方向性が見えてくることが多いです。先生流のアドバイスです。

私は卒業制作で地域のクリニックと連携して、医師と患者をつなぐツールを制作しています。アンケートや検証を重ね、より実用的な現場で役立つコンテンツを目指して取り組んでいます。(小島実奈さん/4年)

長岡の「ココが好き」~先生の声

東京と長岡はどう違いますか。

地方都市である長岡の利点は、適度な劣等感と飢餓感です。どこにいても情報自体は同じように得られるのに、なぜか情報が足りないと感じ、一種のハングリー感が出てきます。でも、新幹線で東京へも90分で行けるし、積極的に自分で情報をとりに行ってますね。この環境は学生にとっても私にとってもプラスです。

また、小島さんも言っていたように、ここは教員が多いです。教員が多いということは、それだけ学べる専門分野が多いということ。積極的に学びたい人にはもってこいじゃないでしょうか。

長岡の個人的なおすすめポイントは、自然が多く暮らしやすいこと。子育て的な環境もいいですし、我が家では長岡に来てペットが増えて楽しく過ごせています。信濃川の土手は広々と開けていて気持ちがいいですね。散歩したり花見しても人が少なくて。

PROFILE

視覚デザイン学科 准教授
徳久 達彦(とくひさ たつひこ)